Instagramで採用難脱却。90日で優秀な人材が集まる運用設計
「また、採用コストが数十万円もかかってしまった…。」 「せっかく入社してくれたのに、たった数ヶ月で辞めてしまった…。」 「そもそも、求人サイトに掲載しても、まったく応募が来ない…。」
経営者であるあなたの頭の中は、今、こんな「人」に関する悩みでいっぱいなのではないでしょうか。
こんにちは。私は2018年からの独立以来、WEBマーケティングを専門として多数の企業様にSNSの代行運用を行ってきました。
これまで数多くの経営者の方々とお話してきましたが、事業規模や業種を問わず、ほとんどの方が「採用」という大きな壁に直面しているのを目の当たりにしてきました。
優秀な人材は、会社の未来を創る上で最も重要な「資産」です。しかし、その資産を確保するための採用活動が、今や多額の費用を垂れ流すだけの「コストセンター」と化してしまっている。そんな厳しい現実があるのではないでしょうか。
もし、この状況を打破できる、まったく新しい採用戦略があるとしたら…?
それが、今回お話しする「Instagram採用」です。
「インスタなんて、若者がキラキラした写真を投稿するSNSだろう?」 「うちのような真面目な会社がやっても、効果があるとは思えない。」
そう思われたかもしれませんね。
しかし、断言します。
その認識は、もはや過去のものです。
今やInstagramは、企業の「体温」や「社風」を伝え、未来の優秀な仲間と出会うための、最も強力なプラットフォームの一つへと進化を遂げているのです。
この記事では、なぜ従来の採用手法が限界を迎えているのかを解き明かし、Instagram採用がもたらす3つの絶大なメリットを解説します。
そして、単なる精神論ではなく、明日から実践できる「90日で優秀な人材が集まる運用設計」の具体的なロードマップと、詳細なステップを、惜しみなくお伝えしていきます。
読み終える頃には、あなたは採用活動の主導権を取り戻し、会社の未来を担う人材が自然と集まってくる未来を描けるようになっているはずです。
なぜ、今の採用手法では人が採れないのか?

本題に入る前に、まずは私たちが今立たされている厳しい現実を直視するところから始めましょう。
これまで「当たり前」とされてきた採用手法が、なぜ急速に機能不全に陥っているのでしょうか。その理由は、大きく分けて2つあります。
高騰し続ける採用コストと、従来メディアの限界
まず一つ目の理由は、あまりにも高騰しすぎた採用コストと、従来型メディアが抱える構造的な限界です。
大手求人サイトに広告を掲載すれば、安くても数十万円、手厚いプランを選べば数百万円という費用がかかるのは、もはや常識となっていますよね。さらに、人材紹介サービスを利用すれば、採用した人材の年収の実に30%~35%が成功報酬として請求されることも珍しくありません。
つまり年収500万円の人材を一人採用するために、175万円もの大金が動く計算です。
これだけの投資をしているにもかかわらず、「掲載しても応募が来ない」「紹介される人材が、自社の求める人物像とズレている」という声が後を絶ちません。
なぜなら、これらの従来メディアは、あくまで求職者が仕事を探しに来る「場所」を提供するだけのプラットフォームだからです。
膨大な数の企業情報の中に自社の求人が埋もれ、給与や休日といった「条件」だけで横並びに比較されてしまう。これでは、待遇面で大手企業に劣る中小企業が、独自の魅力を伝える前に候補者の選択肢から外されてしまうのも無理はありません。
私たちは、高額な通行料を払って、不利な土俵で戦うことを強いられているのです。これは、いわばひたすら魚が網にかかるのを待つだけの「待ちの漁」に他なりません。
求める人材は、もう求人サイトを見ていない
そして二つ目の、より深刻な理由。それは、あなたが本当に採用したいと願う「優秀な人材」ほど、もはや求人サイトを熱心に見ていないという事実です。
特に、今の会社に大きな不満はないものの「もっと良い環境があれば転職したい」と考えている、いわゆる「転職潜在層」。彼ら・彼女らは、日常的に求人情報サイトを巡回するようなことはしません。では、どうやって情報収集しているのか?
答えは、彼らが毎日触れているSNS、とりわけInstagramなのです。
信じられないかもしれませんが、今の20代・30代は、Googleで検索するのと同じくらい自然に、Instagramのハッシュタグを使って「#〇〇業界の働き方」「#埼玉ベンチャー」「#ワーママの日常」といったキーワードで、企業のリアルな情報を探しています。これは「ググる」ならぬ「タグる」と呼ばれる新しい情報収集のスタイルです。
彼らが知りたいのは、求人票に書かれた美辞麗句ではありません。そこで働く社員がどんな表情をしているのか、オフィスはどんな雰囲気なのか、どんな想いで仕事に取り組んでいるのか。
そうした、文章だけでは伝わらない「生の情報」を、彼らは求めているのです。
この2つの大きな変化の波に気づかず、旧来の「待ちの採用」を続けていては、採用コストは膨らみ続け、優秀な人材との出会いは永遠に訪れないでしょう。
経営者が今、Instagram採用に取り組むべき3つの理由

では、なぜInstagramが、この採用難の時代における「ゲームチェンジャー」となり得るのでしょうか。
それは、Instagramが従来メディアの弱点を克服し、これからの時代に不可欠な3つの強力なメリットを企業にもたらしてくれるからです。
理由1:潜在層に直接アプローチできる「攻めの採用」
Instagram採用がもたらす最大のメリットは、これまで出会えなかった優秀な「転職潜在層」に対して、企業側から能動的にアプローチできる「攻めの採用」が実現することです。
求人サイトが「転職顕在層」が集まる場所だとすれば、Instagramは「転職潜在層」が日常を過ごす場所。
彼らがまだ本格的な転職活動を始めていない段階で、自社の魅力や社風、ビジョンを日々発信し続けることで、まるでサブリミナル効果のように「なんだか、あの会社、面白そうだな」というポジティブな印象を、自然な形で刷り込んでいくことができます。
例えば、あなたが開発した新商品のリール動画(ショート動画)が、その技術に興味を持つ他社の若手エンジニアのフィードに偶然表示されるかもしれない。社員が楽しそうにランチをしているストーリーズ(24時間で消える投稿)が、今の職場の人間関係に悩む人の目に留まるかもしれない。
こうした「偶然の出会い」を戦略的に生み出せるのが、Instagramの強みなのです。これは、求人サイトに広告を出してひたすら応募を待つ「待ちの採用」とは、全く次元の異なるアプローチと言えるでしょう。
理由2:ミスマッチを防ぎ、定着率を向上させる「社風の見える化」
「入社前に聞いていた話と、実際の雰囲気が全然違った…」。これは、早期離職を引き起こす最も大きな原因の一つです。採用にかけたコストと時間が、一瞬で水の泡になってしまうこの「採用ミスマッチ」は、経営者にとって悪夢以外の何物でもありません。
Instagramは、この深刻なミスマッチ問題を解決してくれます。なぜなら、写真や動画を通じて、加工されていない「ありのままの社風」を候補者に事前に伝えることができるからです。
例えば、社員インタビューの動画で仕事のやりがいや苦労話を正直に語ってもらう。オフィスの何気ない日常や、休憩中の雑談風景をストーリーズで流す。あるいは、社内イベントで役職関係なく盛り上がっている様子を投稿する。
こうしたリアルなコンテンツは、求人票の何万文字の美辞麗句よりも雄弁に、あなたの会社の「空気感」を伝えてくれます。
候補者は、その空気感が自分に合うかどうかを事前に判断できるため、入社後のギャップが格段に少なくなります。そして企業側もまた、自社のカルチャーに本当にフィットする人材を引き寄せることができる。
結果として、採用の精度が劇的に向上し、社員の定着率アップという、経営の根幹に関わる大きな果実を手にすることができるのです。
理由3:広告費をかけずに企業のファンを育てる「採用資産の構築」
求人サイトへの広告掲載費は、掲載期間が終われば何も残らない、典型的な「掛け捨ての経費」です。しかし、Instagramアカウントの運用は、やればやるほどフォロワーという「未来の候補者リスト」が蓄積されていく、「積み立て型の資産」となります。
考えてみてください。
あなたの会社に興味を持ってくれた1000人のフォロワーがいるとします。その中には、今はまだ転職を考えていない学生や、他社で活躍する若手や中堅社員が含まれているでしょう。彼らは、あなたの会社が発信する情報に日々触れることで、少しずつ、しかし確実に、あなたの会社の「ファン」になっていきます。
そして数ヶ月後、あるいは数年後、彼らがキャリアの岐路に立ったとき、真っ先に思い浮かべるのは、いつも魅力的な情報を発信してくれていたあなたの会社かもしれません。「あの会社、採用募集してないかな?」と、彼らの方から能動的に情報を探しに来てくれるのです。
これは、広告費を一切かけずに、自社専用の「人材データベース」を構築しているのと同じことです。一度育てたアカウントとフォロワーとの関係性は、簡単にはなくなりません。
これこそが、Instagram採用が単なる採用手法ではなく、長期的な経営戦略となり得る最大の理由なのです。
90日で採用を成功させるInstagram運用ロードマップ

では、具体的にどのようにInstagram採用を進めていけば良いのでしょうか。
ここでは、闇雲に投稿を始めるのではなく、戦略的に成果を出すための「90日間ロードマップ」をお伝えします。
この3ヶ月間のステップを着実に実行することで、あなたのアカウントは、優秀な人材を惹きつける強力な磁石へと変わっていきます。
1ヶ月目:「誰に・何を・どう伝えるか」採用ブランドの土台を固める準備期間
最初の1ヶ月は、焦って投稿する必要は一切ありません。
最も重要なのは、このInstagramアカウントを通じて「誰に、何を、どのように伝えていくのか」という、採用活動の根幹となるコンセプトを固めることです。
ここでしっかりとした土台を築けるかどうかが、残り2ヶ月、ひいては今後の採用活動すべての成否を分けます。具体的な設計方法は、後の章で詳しく解説します。
2ヶ月目:「会社の魅力」を伝え、潜在候補者を惹きつけるコンテンツ発信期
2ヶ月目から、いよいよ本格的なコンテンツ発信をスタートします。
最初の1ヶ月で固めたコンセプトに基づき、あなたの会社の「働く魅力」が伝わる投稿を、計画的かつ継続的に行っていきます。この時期の目標は、フォロワー数を爆発的に増やすことではありません。
まずは、設定したターゲット(ペルソナ)に響く質の高いコンテンツを届け、エンゲージメント(いいね!やコメント、保存など)を高めていくことを最優先に考えましょう。
3ヶ月目:「ここで働きたい」を醸成し、応募に繋げるエンゲージメント強化期
3ヶ月目は、これまで築いてきたフォロワーとの関係性をさらに深め、「ファン」から「応募者」へと転換させていくための重要な期間です。
一方的な情報発信だけでなく、ストーリーズの質問機能を活用したコミュニケーションや、ライブ配信での座談会などを通じて双方向のやり取りを増やし、候補者の「この会社で働きたい」という気持ちを醸成していきます。
そして、プロフィールの最適化やDMでの丁寧な対応によって、応募へのスムーズな導線を設計します。
【STEP1:設計編】採用コンセプトを明確にする
さて、ここからはロードマップの各ステップを、さらに具体的に掘り下げていきましょう。
最初にして最重要のステップが、この「設計編」です。立派な家を建てるには、精巧な設計図が不可欠ですよね。Instagram採用も全く同じ。この設計を疎かにしては、決して成功はおぼつきません。
まずは「理想の社員像」を言語化するペルソナ設定
あなたは、どんな人に仲間になってほしいですか?
この問いに、即座に、そして具体的に答えられるでしょうか。「コミュニケーション能力が高くて、主体性のある人」といった漠然とした答えでは不十分です。採用における「ペルソナ設定」とは、自社が本当に求める理想の社員像を、まるで実在する一人の人物かのように、詳細に描き出す作業のことを指します。
例えば、埼玉県のITベンチャー企業が若手エンジニアを採用したい場合、ペルソナは次のようになります。
- 名前: 鈴木 誠(26歳・男性)
- 居住地: さいたま市浦和区(実家暮らし)
- 現職: 都内の中堅SIerで3年目。大規模案件の一部を担っているが、もっと裁量権のある仕事がしたいと感じ始めている。
- 価値観: スキルアップへの意欲が非常に高い。地元埼玉が好きで、将来的には地元に貢献できる仕事がしたいと考えている。
- 情報収集: 技術系の情報はQiitaやTwitterで収集。企業の雰囲気はInstagramで「#ITベンチャーの日常」などと検索してチェックしている。
どうでしょうか。ここまで具体的に描き出すことで、彼がどんな情報に興味を持ち、どんな言葉に心が動くのかが、手に取るように見えてきますよね。
このペルソナである「鈴木誠さん」たった一人にラブレターを書くつもりで情報を発信することが、結果として、彼と似た価値観を持つ多くの優秀な人材にメッセージを届ける最短ルートになるのです。
給与や待遇だけではない。自社の「働く魅力」を再発掘する3つの視点
次に、設定したペルソナに向けて、自社の何をアピールしていくのか。その「魅力」を洗い出す作業に移ります。多くの企業が、給与や福利厚生といった「条件面」ばかりをアピールしがちですが、それでは大手企業との消耗戦に巻き込まれてしまいます。
大切なのは、あなたの会社にしかない、独自の価値を見つけ出すことです。
そのために、弊社は「Will(ビジョン・社会性)」「Culture(文化・社風)」「Must(制度・待遇)」という3つの視点から、自社の魅力を再発掘することをお勧めしています。
- Will(ビジョン・社会性): あなたの会社は、事業を通じてどんな社会を実現しようとしているのか?経営者がどんな想いでこの会社を立ち上げたのか?といった、会社の存在意義に関わる部分です。特に社会貢献への意識が高い今の若者世代には、このWillへの共感が強く響きます。
- Culture(文化・社風): 社員同士のコミュニケーションの取り方、独特の社内ルールやイベント、評価制度など、目には見えないけれど確かに存在する「会社の空気感」です。これは、若手社員にヒアリングしてみると「うちの会社のこういうところ、好きなんですよね」といった意外な魅力が見つかることも多い部分です。
- Must(制度・待遇): もちろん、給与や休日、福利厚生といった条件面も重要です。しかし、他社と比較するだけでなく「資格取得支援制度が手厚い」「独自の休暇制度がある」など、自社ならではのユニークな制度を掘り下げてアピールすることが大切です。
この3つの視点から洗い出した魅力を、先ほど設定したペルソナが、特にどの部分に強く惹かれるかを考え、伝えるべき情報の優先順位を決めていきましょう。
競合と差別化し、一貫性を生むアカウントコンセプトの作り方
ペルソナ(誰に)と自社の魅力(何を)が明確になったら、最後にそれらを統合し、アカウント全体の方向性を定める「コンセプト」を策定します。
コンセプトとは、いわばあなたのアカウントの「軸」のようなもの。これがあることで、発信する情報に一貫性が生まれ、他社との明確な差別化を図ることができます。
コンセプトは、「〇〇な(ターゲット)のための、△△な(自社の特徴)会社による、□□がわかる(提供価値)アカウント」というテンプレートに当てはめて考えると、非常に作りやすくなります。
例えば、先ほどの埼玉のITベンチャー企業の例で考えてみましょう。
- 「都心に行かなくても成長したい埼玉の若手エンジニアのための、技術好きが集まるベンチャー企業による、リアルな開発現場と社員の成長がわかるアカウント」
このようなコンセプトを定めることで、「どんな投稿をすべきか」「どんな言葉遣いをすべきか」といった日々の運用における判断基準が明確になり、担当者が誰であってもブレることのない、一貫した世界観を持ったアカウントを育てていくことができるのです。
【STEP2:実行編】“会社のファン”を育てるコンテンツ戦略
緻密な設計図が完成したら、いよいよ家を建てる工程、つまりコンテンツ発信のスタートです。このステップで重要なのは、設計図(コンセプト)に忠実に、しかし遊び心を忘れずに、あなたの会社の「体温」が伝わるような情報を発信し続けることです。
では、具体的にどんなコンテンツを作っていけば良いのでしょうか。
候補者が本当に知りたいのは「社員の素顔」と「社内の雰囲気」
ここで一つ、あなたに質問です。求職者が企業のInstagramアカウントを見るとき、彼らは何を知りたいと思っていると思いますか?
答えは、決して公式サイトに載っているような、整えられた事業内容や沿革ではありません。転職・就職情報会社のマイナビが実施した調査でも、学生が知りたい情報の上位には常に「社内の雰囲気」「社員の働きがい」といった項目がランクインしています。
彼らが求めているのは、もっと人間臭い、リアルな情報なのです。
例えば…
- 新入社員が初めてのプロジェクトをやり遂げた日の、達成感に満ちた笑顔。
- オフィスの一角にあるスペースで、部署の垣根を越えて談笑する社員たちの姿。
- 大きな失敗をしてしまった若手社員を、上司が励ましている夕暮れのオフィス風景。
- 社長が社員と同じ目線で、会社の未来について熱く語り合っている飲み会の様子。
こうした「物語のワンシーン」こそが、候補者の心を掴んで離さない最高のコンテンツとなります。求人票のスペック表を眺めるだけでは決してわからない、その会社で働くことの「手触り感」や「やりがい」。
それを伝えることこそ、Instagram採用における最大の使命なのです。綺麗なオフィスや立派な制度を自慢するのではなく、あなたの会社で働く「人」の魅力を、自信を持って発信していきましょう。
企業のビジョンと情熱を伝える「ストーリーズ・リール」活用術
Instagramには様々な機能がありますが、採用活動において特に強力な武器となるのが「ストーリーズ」と「リール」です。この二つを戦略的に使い分けることで、情報発信の幅と深さが格段に向上します。
【ストーリーズ】日常の「リアル」を切り取り、双方向の関係を築く
24時間で消えるストーリーズは、その気軽さとリアルタイム性が最大の魅力です。作り込んだ投稿よりも、むしろ「今、この瞬間」を切り取ったような、ライブ感のあるコンテンツが好まれます。
- 活用例1:オフィスツアー: 「今日のオフィスを突撃レポート!」と題して、各部署の様子や社員の働く姿をライブ中継のように紹介する。
- 活用例2:Q&Aコーナー: 質問ボックス機能を使い、「仕事で一番大変なことは?」「休みの日は何してる?」といったフォロワーからの質問に、社員が動画で答える。
- 活用例3:アンケート機能: 「次の社内イベント、BBQとボーリング大会どっちがいい?」といったアンケートを取り、フォロワーを巻き込みながら会社の文化を伝える。
ストーリーズの目的は、フォロワーとの距離を縮め、親近感を持ってもらうことです。完璧である必要はありません。
少し手作り感があるくらいが、かえって人間味を感じさせ、エンゲージメントを高めることに繋がります。
【リール】会社の魅力を凝縮し、「偶然の出会い」を最大化する
一方、リール(ショート動画)は、あなたのアカウントをまだ知らない「未来の候補者」にまで情報を届けてくれる、強力な拡散力を持っています。そのため、ストーリーズよりも少しだけ作り込み、30秒~60秒という短い時間で、会社の魅力が最大限に伝わるようなコンテンツを目指しましょう。
- 活用例1:ビジョンムービー: 社長や創業者が、なぜこの事業を始めたのか、どんな未来を創りたいのかを、自身の言葉で情熱的に語る。
- 活用例2:社員の成長ストーリー: ある一人の社員に焦点を当て、入社から現在までの成長の軌跡を、インタビューや過去の写真・映像を交えてドキュメンタリー風に描く。
- 活用例3:お仕事紹介動画: テンポの良い音楽に乗せて、ある職種の1日の流れや仕事の面白さを、ダイジェストで分かりやすく紹介する。
リールは、いわば「動く会社案内」。これを見た人が「なんだか面白そうな会社だな」「この人たちと一緒に働いてみたい」と直感的に感じてくれるような、心を動かすコンテンツを企画することが成功の鍵となります。
投稿すべき内容に困らない「コンテンツマトリクス」の作り方
「毎日投稿した方がいいのはわかるけど、そんなにネタが続かない…」。これは、企業アカウントの運用担当者が必ず一度はぶつかる壁です。
この「ネタ切れ問題」を解決するために、ぜひ活用してほしいのが「コンテンツマトリクス」というフレームワークです。
これは、縦軸と横軸でテーマを区切り、発信するコンテンツを体系的に整理する思考ツールです。例えば、以下のようなマトリクスを作成してみましょう。
- 縦軸: 上に「ヒト(社員・文化)」、下に「モノ/コト(事業・制度)」
- 横軸: 左に「お役立ち・学び」、右に「共感・ストーリー」
この4つの象限を埋めていくことで、驚くほどたくさんのコンテンツのアイデアが生まれてきます。
- ①左上(ヒト×お役立ち): エース営業マンが語る「お客様との信頼関係の築き方」/人事部長が教える「面接で本当に見ているポイント」
- ②右上(ヒト×共感): 産休から復帰したママさん社員の「仕事と育児の両立奮闘記」/同期入社の社員たちが語る「忘れられない新人時代のエピソード」
- ③左下(モノ/コト×お役立ち): 業界の最新ニュースをエンジニアが分かりやすく解説/知られざる自社の福利厚生「こんな制度、使えます!」
- ④右下(モノ/コト×共感): 新サービスが生まれるまでの「開発チームの知られざる苦労と喜び」/創業記念日に寄せて、社長が語る会社の歴史
どうでしょうか。このようにマトリクスを使ってアイデアを整理すれば、コンテンツのバランスも取れ、安定した情報発信を続けることが可能になります。
【STEP3:仕組み化編】応募に繋げる導線設計と分析
素晴らしいコンテンツを発信し、多くのファンを獲得できたとしても、それが「採用」という成果に結びつかなければ意味がありません。
最後のステップでは、育んだフォロワーとの関係性を、実際の応募へと繋げるための「仕組み」を構築していきます。
DMから応募へ。候補者の熱量を高めるコミュニケーション術
Instagram採用において、DM(ダイレクトメッセージ)は、候補者との非常に重要な接点となります。ストーリーズへのリアクションや投稿への質問など、候補者から送られてくるDMの一つひとつが、未来の仲間からの「はじめまして」の挨拶なのです。この機会を、決して無駄にしてはいけません。
ここで絶対にやってはいけないのが、機械的な定型文で返信し、ただ採用ページのURLを送りつけるだけの対応です。そんなことをすれば、相手の熱量は一気に冷めてしまいます。
大切なのは、一人ひとりに寄り添った、血の通ったコミュニケーションです。
相手のプロフィールを事前に確認し、「〇〇がお好きなんですね!うちの社員にもファンが多いんですよ」といった一言を添えるだけで、相手が抱く印象は劇的に変わります。「この会社は、自分のことを一人の人間として見てくれている」と感じてもらえるからです。
そして、ある程度やり取りが続いたら、「もしよろしければ、一度オンラインでカジュアルにお話ししませんか?」と、選考とは全く関係のない「カジュアル面談」へと招待しましょう。履歴書もスーツも不要の、気軽な情報交換の場を設けることで、候補者の心理的なハードルを下げ、次のステップへとスムーズに繋げることができるのです。
見るべきはフォロワー数ではない。採用成果に繋がるKPI設定と改善サイクル
経営者の方がSNS運用で陥りがちなのが、「フォロワー数が多ければ成功」という思い込みです。しかし、いくらフォロワーが1万人いても、そのほとんどが自社の採用ターゲットと無関係な人々であれば、採用成果には1ミリも繋がりません。
大切なのは、数の多さではなく、その「質」と「熱量」です。
そこで、私たちはフォロワー数のような見栄えの良い数字(Vanity Metrics)ではなく、採用成果に直結する、本当に意味のある指標(Actionable Metrics)をKPI(重要業績評価指標)として設定することをお勧めします。
- エンゲージメント率: 「いいね!」やコメントの数をフォロワー数で割ったもの。コンテンツがターゲットに響いているかを示す「質」の指標。
- 保存数: 「後でもう一度見返したい」と思われた数。有益な情報を提供できているかどうかのバロメーター。
- プロフィールアクセス数: 投稿を見て、あなたのアカウント自体に興味を持ってくれた人の数。
- ウェブサイトクリック数: プロフィール欄のURLがクリックされた数。採用ページへの誘導がうまくいっているかの指標。
- DMでの問い合わせ数: 採用に最も近い、最重要指標。
これらの数値を毎週、あるいは毎月チェックし、「なぜこの投稿は保存数が多かったのだろう?」「どんなストーriesを送るとDMに繋がりやすいのか?」といった仮説を立て、次のアクションを改善していく。
この地道なPDCAサイクルを回し続けることこそが、Instagram採用を成功させる唯一の道なのです。
事例から学ぶ、Instagram採用成功企業の共通点

ここでは、Instagram採用をうまく活用し、採用難から見事に脱却した企業の事例を2つご紹介します。
彼らの成功の裏には、どんな共通点があったのでしょうか。
採用コスト80%減!地方中小企業が実現したファン作り採用
東北地方のある金属加工メーカーは、長年、若手人材の確保に苦しんでいました。ハローワークや求人サイトに広告を出しても全く反応がなく、人材紹介会社に頼るも、高額な手数料が経営を圧迫していました。そこで社長が決断したのが、Instagramの活用でした。
彼らが発信したのは、最新の機械や技術力の自慢ではありませんでした。投稿の中心に据えたのは、そこで働く「職人」たち。熟練の技を披露するリール動画、社員たちが家族を連れて集まるBBQ大会の様子、さらには会社近くの絶品ラーメン店の紹介まで。徹底して「人」と「地域」にフォーカスした温かい発信を続けたのです。
すると、半年が過ぎた頃から変化が訪れます。地元の工業高校の学生から「インターンシップに参加したい」というDMが届き始め、さらには「都会の仕事に疲れた。地元で、温かい人たちとモノづくりがしたい」というUターン希望者からの問い合わせも舞い込むようになりました。結果として、あれだけ苦しんでいた採用活動が嘘のように好転し、人材紹介会社への支払いはほぼゼロに。採用コストの大幅な削減に成功したのです。
Z世代の心をつかみ、新卒採用に成功したアカウントの仕掛け
東京・渋谷にオフィスを構える、急成長中のITベンチャー。彼らは新卒採用において、Instagramを戦略の核に据えました。特徴的だったのは、アカウントの運用を人事部ではなく、その年の「内定者」たちに任せたことです。
内定者たちは、Z世代ならではの感性を活かし、「#26卒と繋がりたい」といったハッシュタグを駆使して学生との繋がりを構築。インスタライブでオンライン会社説明会を実施し、役員相手にも忖度ない質問をぶつける企画が「リアルで面白い」と学生の間で大きな話題を呼びました。また、若手社員の「仕事での大失敗談」を赤裸々に語る投稿が、「良いことばかり見せる会社より信頼できる」と多くの共感を集めました。
結果、彼らの会社説明会への申し込み数は前年比で200%を達成。何より大きかったのは、会社のカルチャーを深く理解した上で「この会社で働きたい」と強く願う、熱量の高い学生からのエントリーが激増し、採用のミスマッチが大幅に減少したことでした。
始める前に知っておきたいInstagram採用の注意点

Instagram採用は、正しく運用すれば絶大な効果を発揮しますが、一方で、いくつか注意すべき点もあります。
最後に、失敗を避け、リスクを最小限に抑えるためのポイントを2つお伝えします。
担当者は誰が適任か? “中の人” の選び方と育成法
最もよくある失敗が、「SNSが得意そうだから」という安易な理由で、若手社員にアカウント運用を丸投げしてしまうケースです。担当者になった社員は、会社の何をアピールすれば良いのかわからず、次第に投稿は当たり障りのない内容になり、やがて更新も途絶えてしまう…。
Instagram採用の「中の人」は、単なるSNS担当者ではありません。会社の魅力を社外に伝える「広報担当」であり、候補者と最初に関わる「人事担当」でもある、極めて重要なポジションです。
適任なのは、何よりも「自社のことが好きで、その魅力を自分の言葉で語れる人」。そして、経営層が考えているビジョンや戦略を正しく理解し、連携できる人物です。人事と広報のメンバーでチームを組むのも良いでしょう。担当者には十分な裁量権を与え、決して孤独にさせず、会社全体でバックアップしていく体制を整えることが不可欠です。
炎上リスクを回避するための運用ガイドライン
企業の公式アカウントとして情報を発信する以上、常に「炎上」のリスクはつきまといます。不適切な表現や、誰かを傷つけるような投稿が、一瞬にして企業の信頼を失墜させる可能性があることを、肝に銘じておかなければなりません。
リスクを完全にゼロにすることはできませんが、最小限に抑えることは可能です。そのために、必ず事前に「運用ガイドライン」を作成しましょう。
- 投稿内容の基本方針: 政治、宗教、人種、性別など、差別的・扇動的な内容は絶対に扱わない。他社や個人を誹謗中傷するような表現は一切使用しない。
- チェック体制: 投稿前には、必ず担当者以外の複数名(上司や別部署のメンバーなど)が内容を確認するダブルチェック体制を義務付ける。
- コメントへの対応方針: ネガティブなコメントや批判的な意見が寄せられた場合でも、感情的に反論したり、安易に削除・ブロックしたりしない。まずは真摯に受け止め、誠実に対応する。
こうした基本的なルールを定め、関係者全員で共有しておくことで、多くのトラブルは未然に防ぐことができるはずです。
まとめ

さて、ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
Instagram採用とは、単なる新しい採用チャネルの一つではありません。それは、広告費を垂れ流す「待ちの採用」から脱却し、自社の魅力で未来の仲間を惹きつける「攻めの採用」へと、ビジネスモデルそのものを変革する経営戦略です。
それは、求人票のスペックだけでは伝わらない、あなたの会社の「体温」や「物語」を届け、候補者との間に深く、そして強い絆を築いていく活動です。育てたアカウントは、掛け捨ての広告費とは違い、未来永劫にわたって優秀な人材を惹きつけ続ける、何物にも代えがたい「採用資産」となります。
もちろん、始めてすぐに魔法のような成果が出るわけではありません。日々の地道な発信と、試行錯誤の繰り返しが必要です。しかし、その先には、採用の悩みから解放され、同じ志を持った最高の仲間たちと共に、会社の未来を創っていく、そんなワクワクする景色が待っています。
また、もしSNS運用をしたい、Instagramを開始して採用活動をしたいと思ったのであれば、ぜひ弊社にお問い合わせください。
SNS運用代行を長年続けてきたノウハウや、実際に貴社の現状をチェックして最適な運用体制をご案内いたします。
初回のご相談は無料なのでぜひお気軽にご連絡ください。
